暑すぎる職場のリスクとは?知っておきたい法令違反と作業環境を良くする5つの方法

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暑い夏、作業中の現場がまるでサウナのように感じたことはありませんか?工場や建設現場などでは、暑さが生産性を低下させ健康リスクを高めるため、職場環境の改善は重要な問題です。

労働基準法によると、企業は「従業員が安全かつ快適に働ける環境」を提供する義務があります。暑すぎる職場や作業環境の基準が守られていない場合、熱中症による労災が認定されることも。

この記事では、法令に基づく温度管理基準、具体的な対策、上司に相談する方法などを詳しく解説します。すぐに実践できる方法も紹介するので、職場環境による健康リスクを減らし、生産性を向上させるため、ぜひ最後まで読んでくださいね。

暑すぎる職場環境と熱中症の基礎知識

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夏場の職場環境が暑すぎると、従業員の生産性が低下するだけでなく、熱中症のリスクも高まります。特に工場や建設現場などの高温多湿な場所では、適切な対策が求められます。
熱中症の基礎知識を持ち、職場の環境改善に努めることが必要です。

夏場の職場環境と暑さ指数(WBGT)

職場環境の暑さは「暑さ指数」を用いて表すことが一般的です。暑さ指数は、「湿球黒球温度(Wet-Bulb Globe Temperature)」とも呼ばれ、気温、湿度、風速、放射熱を総合的に評価し、熱中症のリスクを評価する指標です。
計算方法としては、湿球温度、乾球温度、黒球温度のデータを用います。日本気象学会の計算方法によると、暑さ指数は以下の基準を参考に職場環境を調整することが推奨されます。

暑さ指数WBGTリスクレベル推奨される対策
25℃未満長時間の作業や高負荷作業に注意
25℃ - 28℃適度な休憩と水分補給が必要
28℃ - 31℃作業負荷を軽減し、頻繁な休憩と冷却が必要
31℃以上非常に高い作業を中断し、急速な冷却と休息が必要

上記の暑さ指数を基準にすれば、職場の熱中症リスクを定量的に評価できます。暑さ指数に関しては厚生労働省の暑さ指数も参考にしてください。

暑さによる健康へのリスク

室内での熱中症は、高温多湿な環境と労働者の身体的状態が大きく影響しています。風通しの悪い場所での作業や、休憩が不十分な場合、熱中症リスクは著しく高まります。
環境省の熱中症予防情報サイトによれば、室内温度の管理や定期的な水分補給は、熱中症対策に欠かせない要素です。労働者が快適に休憩できるスペースの提供や、作業時間の調整も推奨されています。これらの対策を講じることで、職場での熱中症リスクを大幅に軽減できます。

暑すぎる職場や現場は法令違反になる?

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暑すぎる職場は法令違反になる可能性があるため、具体的な基準や対策を理解することが重要です。夏場の高温多湿な環境下での作業は、労働者にとって深刻な健康リスクをもたらします。
職場の温度管理は、従業員の健康と安全を守るために重要な課題です。労働基準法や関連規則に基づき、適切な職場環境を維持しましょう。

労働基準法と職場の安全配慮義務

労働基準法は、労働者の健康と安全を守るための基本的な規定を設けています。職場の温度管理については、中央労働災害防止協会のガイドラインや事務所衛生基準規則に従うことが重要です。
事務所衛生基準規則では、事務所の温度を17度から28度、湿度を40%から70%の範囲内に保つことが推奨されています。労働基準法を理解し遵守することで、労働者の快適な労働環境の実現が可能です。

工場の熱中症が労災認定される条件

工場での熱中症が労災認定されるためには、医学的診断要件と一般的認定要件を満たす必要があります。労働基準法によると、医学的要件と一般的認定要件を満たすポイントは以下のとおりです。

・仕事中の特定の原因で熱中症が発生した
・作業内容と作業環境が明確である
・けいれんや意識障害などの症状や体温を確認した
・他の症状(頭の中の出血やてんかんなど)ではないことを確認した

上記の要件を満たすことで、熱中症が労災として認定され、適切な補償が受けられるようになります。労働災害の具体例は「厚生労働省 職場のあんぜんサイト」でも検索できます。

現場環境の法令違反に対する具体的なアクションプラン

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職場環境が法令違反とみなされる状況では、従業員の健康と安全を確保するために迅速かつ適切なアクションを取る必要があります。ここからは法令違反の疑いがある職場に対する具体的なアクションプランを紹介します。
適切な方法で問題を解決し、安全な労働環境を実現しましょう。

上司や人事総務部へ報告する

職場の環境に問題がある場合は、上司や人事総務部に状況を報告することが重要です。口頭での報告でも問題ありませんが、時間があれば履歴データを残すため、メール文や報告書を作成しましょう。
報告書には、問題の詳細な説明、具体的な事例やデータ、従業員の声を含めると効果的です。可能であれば、写真やビデオなどの視覚的な証拠を添付してください。報告内容が具体的であるほど、上司や人事総務部が迅速に対応しやすくなります。

労働組合や労働基準監督署へ相談する

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法令違反な現場に悩まされている場合は、労働組合や労働基準監督署に相談することも有効です。所属している労働組合がある場合は、連絡を取り状況を説明しましょう。
労働基準監督署へ相談する場合は、最寄りの労働基準監督署に電話やオンラインで相談の予約を取ります。予約が取れたら、相談の際に必要な書類や証拠を準備してください。問題の詳細を示す写真、ビデオ、事故報告書、従業員の証言などが役立ちます。
万が一熱中症などの労災が発生した場合は、以下の手順で労災の申請が可能です。

1) 労災を申請する
 最初に労災が発生したことを確認し、その詳細を記録します。
2) 病院を選ぶ
 労災保険指定の医療機関を選び、治療を受けます。医師から診断書を取得してください。
3) 請求書類を提出する
 必要な書類を労働基準監督署に提出します。請求書類には労災保険請求書、診断書、事故報告書などが含まれます。

職場環境の改善案を提案する

職場環境の改善案を提案することも、法令違反の職場に対して有効な手段です。職場環境の改善を提案する際は、具体的で実現可能な案を提示しましょう。
提案書には、改善の目的と期待される効果を明確に示すと効果的です。具体的な改善案としては、冷房設備の導入、作業時間の短縮、適切な休憩時間の確保などが考えられます。
上司や人事総務部に対して、改善のメリットを具体的に説明することで、提案が受け入れられやすくなるでしょう。

実例あり!暑すぎる職場でできる作業環境を改善する方法

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暑すぎる職場環境を改善するために、さまざまな対策が考えられます。ここでは、熱中症対策に効果的なグッズやシステムを紹介します。

改善方法概要詳細
大型扇風機やスポットクーラーの導入職場全体や特定のエリアを効率的に冷却する。大型扇風機
スポットクーラー
シーリングFANの導入空気を循環させ、熱気を効果的に排出する。シーリングFAN
ミストファンの導入冷却効果が高く、湿度も適度に保つ。ミストファン
ペンギンくん
屋根上に散水ノズルを設置屋根の温度を下げ、室内の温度上昇を防ぐ。屋根散水システム
屋根上にエコパネルや緑化パネルを設置パネルによる遮熱効果と空気の浄化効果がある。エコパネル
緑化パネル

職場環境は早急に対策しないと、作業効率だけでなく作業者の健康問題にも発展しかねません。最悪の場合、労働基準法違反になり重い処罰を受ける可能性もあります。
各アイテムの具体的な導入方法が知りたい場合は、詳細ページのお問い合わせからお気軽にご相談ください。

大型扇風機やスポットクーラーを導入する

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大型扇風機やスポットクーラーの導入は、職場環境を迅速に改善する手段として有効です。大型扇風機は広範囲に風を送り、空気の循環を促進することで、作業エリアの温度を下げる効果が期待できます。
スポットクーラーは、特定の場所を集中して冷やすため、特に高温な室内や空調工事が難しい現場に適しています。どちらの機器も設置が容易で、すぐに効果を実感できます。夏場におすすめな大型扇風機や、スポットクーラーの詳細は以下のページをご確認ください。
>> 大型扇風機の商品ページはこちら
>> スポットクーラー「ヒエスポ」の商品ページはこちら
スポットクーラーの選び方は「倉庫や現場の“冷えない”を解消!業務用スポットクーラーの賢い選び方」の記事でも詳しく解説しています。

シーリングFANを導入する

シーリングファンは、天井に取り付けることで広範囲の空気の循環が可能です。シーリングファンを導入することで、室内全体の温度を均一に保ち、冷房効率を向上させるため、空調の省エネルギー効果も期待できます。
1.5kWの消費電力で、約1,000㎡以上の面積に対応でき、スポットクーラーよりも大幅に電気代が節約できる点も嬉しいポイント。設置方法も比較的簡単で、既存の天井に取り付けるだけです。
>> 大型シーリングファン「エネファン」の商品ページはこちら

ミストファンを導入する

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ミストファンは、水を細かい霧状にして吹き出すことで、周囲の温度を下げる効果があります。ミストファンの導入で、蒸し暑い環境でも快適に作業が可能です。
特に屋外や大規模な施設での使用に適しており、簡単に移動できるタイプもあります。冬場は静電気防止にも活用できます。使用方法はシンプルで、水の補充と電源の確保だけで運用できるのでぜひ検討してみてください。
施工事例として「工場の熱中症を防ぐ「ミスト施工」の第1期工事 2024月5月28日」で詳しく紹介しています。
>> 工場用ミストファンの商品ページはこちら

屋根上に散水ノズルを設置する

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屋根上に散水ノズルを設置することで、建物全体の温度を効果的に下げられます。屋根の表面に水を撒き、気化熱による冷却効果を利用します。アスファルトに水をかける「打ち水」と同じ効果です。
屋根上散水ノズルは、特に直射日光が強い場所で有効です。散水の時間は自由に設定でき、井戸水でも問題なく動作します。冷房の冷却効率が上がり、室温が5度下がったという事例もあるので散水ノズルによる冷却効果は絶大です。
>> 屋根上散水システムの商品ページはこちら

屋根上にエコパネルや緑化パネルを設置する

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屋根上にエコパネルや緑化パネルを設置することも、熱中症対策に有効です。エコパネルや緑化パネルを屋根上に設置することで、建物の断熱効果を高め、内部の温度上昇を抑えられます。
エコパネルは、反射材や断熱材を使用して熱を遮断します。緑化パネルは、植物の蒸散作用を利用して自然な冷却効果を得られます。職場環境の改善に加えて、SDGsの取り組みの推進にもなるので、この機会に検討してみましょう。
>> ぴたっとECOパネルの商品ページはこちら
>> 屋根上緑化システムの商品ページはこちら

暑すぎる現場を改善するときのポイントと注意点

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暑すぎる現場環境を改善するには、適切な対策と計画が不可欠です。従業員の健康と安全を守り、作業効率を向上させるために、さまざまな方法と注意点を考慮する必要があります。
ここからは、具体的な対策とそのポイントを紹介します。

補助金を活用して暑さ対策する

暑さ対策を行う際は、補助金を活用することが効果的です。国から認められている補助金を使えば、熱中症対策にかかる費用を押さえて設備を導入できます。
エイジフレンドリー補助金産業保健活動推進助成金などが有名な補助金の一例です。「補助金の種類がありすぎて…」「どうやって申請していいかわからない」こんな悩みがある場合は、補助金代行サービスを利用してみてください。補助金代行サービスは、企業向けに補助金がスムーズにもらえるようサポートをしています。
詳細は以下のページからお問い合わせください。

>> 補助金代行サービスの詳細はこちら

WBGT(暑さ指数)を活用する

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WBGT(暑さ指数)は、労働環境の暑さを評価するための指標です。温度計や湿度計を用いて測定します。職場でWBGTを定期的に計測し、その数値に基づいて適切な対策を講じることで、熱中症のリスク低減が可能です。
具体的な活用方法としては、WBGTが高い場合には作業時間の短縮や休憩の頻度を増やすなどの対応が挙げられます。WBGTの基準を参考にすれば、効果的かつ確実な熱中症対策が可能です。

労働環境を整える

労働環境を整えることは、従業員の健康と安全を確保するために不可欠です。労働環境を適切に整備するには以下の対策が欠かせません。

・健康管理:労働者の健康状態の確認
・作業管理:作業時間の短縮
・作業環境管理:休憩場所の整備
・労働衛生教育の実施
・管理体制の整備

労働環境や安全衛生管理士の概要は「どうして安全衛生管理者が必要なの?仕事内容と改善例をご紹介します」でも詳しく解説しています。

熱中症の対応を理解する

熱中症の対応を理解することも職場環境を改善する上で重要なポイントです。熱中症の発生時には迅速な対応が求められます。以下の手順で対応をしてください。

・患者の意識を確認する
・応急処置をする
・涼しい場所へ移動する
・身体を冷やす
・水分・塩分(電解質)を補給する

熱中症の予防策としては、日常的な体調管理や適切な水分補給がおすすめです。詳細な対策については「【2024年最新版】工場の暑さ対策I熱中症を防ぐために夏前にやっておくべき内容とは?」を参照してください。

夏場の熱中症対策で労働環境と作業効率を改善しよう

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暑い夏場には、職場環境の温度管理が従業員の健康と作業効率に大きな影響を与えます。適切な対策を講じることで、熱中症のリスクを減らし、快適な労働環境の実現が可能です。
作業環境を改善して熱中症対策するためには、適切な設備の導入が不可欠です。できるだけコストをおさえて、職場環境を改善するには以下の商品がおすすめです。

改善方法概要詳細
大型扇風機やスポットクーラーの導入職場全体や特定のエリアを効率的に冷却する。大型扇風機
スポットクーラー
シーリングFANの導入空気を循環させ、熱気を効果的に排出する。シーリングFAN
ミストファンの導入冷却効果が高く、湿度も適度に保つ。ミストファン
ペンギンくん
屋根上に散水ノズルを設置屋根の温度を下げ、室内の温度上昇を防ぐ。屋根散水システム
屋根上にエコパネルや緑化パネルを設置パネルによる遮熱効果と空気の浄化効果がある。エコパネル
緑化パネル

設備の導入コストを抑えるためには、国の補助金を活用するのも有効です。これらの対策を実施することで、職場環境の温度管理が向上し、従業員の快適性と作業効率が大幅に改善されます。
熱中症対策を徹底し、安全で快適な労働環境を維持することが、企業を持続的に発展させましょう。

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