ドラム缶の液漏れはなぜ起きる?その原因と解消法

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ドラム缶の液漏れはなぜ起きる?その原因と解消法

石油などの液体の保存や運搬に使われているドラム缶。そもそもドラム缶は輸送容器であり、長期保管を前提としておらず、充填後は早期の使用が推奨されています。輸送時の衝撃や転倒では液漏れは起こらない設計がされており、国連あるいはそれに準じた規定に沿った厳格な試験に合格したドラム缶が市場に供給されています。それでも発生することがあるドラム缶の液漏れ。
その原因と解消法をご紹介していきます。

液体の保存になぜドラム缶が使われているのか?その起源と歴史

アメリカでは1860年代の石油の発見とともに、原油の運搬に木樽が使用されていました。ですが木製が故に、寒暖に弱く、湿気による木樽の腐食や液体の劣化で長期保存には不向きでした。そこで1903年に金属による石油の容器が発明され、1910年代には保存や近距離の移動だけでなく、石油の輸送容器としてドラム缶が注目されました。そこから需要が飛躍的に伸びていき、全世界へ浸透していきました。

ドラム缶工業会HPより転載

ドラム缶の歴史
ドラム缶の歴史

世界に認められた耐久性に優れたドラム缶。それでも起こる液漏れの原因とは?

開発から常に改良を重ね、世界基準を満たしてきたドラム缶。耐久性に優れているのにそれでも起こってしまう液漏れ。使用方法など原因となりうる可能性を探ってみましょう。

原因① 内容物に適さないドラム缶を使用している

ドラム缶は一般的には鉄やステンレスでできています。その他ドラム缶の内部が耐薬品性の樹脂製ケミカルドラムや外側もすべて樹脂製のドラム缶などがあります。内容物に適切なドラム缶を使用していない場合は、ドラム缶内の廃液が流出・飛散する等、周辺環境にも悪影響を与えます。

内容物に適さないドラム缶イメージ

原因② 再利用時に更正処理されていないドラム缶を使用している

実は再利用もできるエコな産業容器としても知られているドラム缶。一度使用したあとも複数回の利用が可能で、ドラム缶更生メーカーによって内部を洗浄し、外面の塗装も塗り替えてから(更正処理)再利用されています。更正処理済みのドラム缶であれば、輸送や一時保管には問題ありません。ですが、屋外で長期間保管している場合や事故などで漏洩するケースも考えられます。

鋼製200リットルドラム缶リユース&リサイクルフローチャート
鋼製200リットルドラム缶リユース&リサイクルフローチャート

原因③ 保管場所の問題

ドラム缶や一斗缶など大量に保管管理している場合、保管自体に場所をとってしまいます。屋内に収めると作業スペースが狭くなり、他業務に支障をきたしたり、そもそも屋内にスペースが取れない場合は屋外に保存せざるを得えなくなってしまいます。屋外だと天候による劣化だけでなく、ドラム缶を傷つけられたり盗難などのイタズラに遭う可能性も高くなります。

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原因④ 天候や環境により発生する錆

耐久性に優れたドラム缶といえど、屋外で保管している場合は、天候や環境により雨風にさらされ続けていると次第に錆びていきます。ドラム缶の保管には屋内の湿気を避けた場所が最適とされています。その一方で屋内に保管していても、ドラム缶内部とドラム缶外部の温度差によって起きる「結露」が水滴となりドラム缶の内部に付着し、これが錆となってドラム缶を劣化させる場合があります。

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原因⑤ フォークリフトの誤作動などの運搬時の転倒・破損

フォークリフトの誤操作による破損や運搬時のトラブルにより、ドラム缶が転倒し、破損する可能性もあります。これによりドラム缶内の液体が床や地面、運搬車、道路などへ漏出し、滑りや引火の原因となり大事故へつながる場合もあります。

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さまざまな原因から起こる可能性のある液漏れ。
ドラム缶の劣化や液漏れから守る方法は?

ドラム缶の内容物との相性から使用環境・天候・人的ミスまで様々な要因で起こる液漏れ。
そのさまざまな要因で起きる劣化や液漏れを防ぐ方法をご紹介します。

方法① 中身に適したドラム缶を使用する。

ドラム缶の選定ポイントは、材質とフタの形状。鉄やステンレス製のドラム缶に酸性の廃棄物を入れた場合には容器が腐食するリスクが高くなります。酸性の廃棄物を入れる場合はケミカルドラムを使用しましょう。フタの形状はクローズドドラムとオープンドラムの2種類があり、液体の廃棄物には、オープンドラムだとフタの隙間から漏洩する可能性があるため、口栓以外に開口部がなく密閉性が高いクローズドドラムを選ぶ必要があります。

中身に適したドラム缶イメージ

方法② 再生ドラム缶を使う場合は、更生処理済みドラム缶を正しく使用する

ドラム缶も繰り返し再利用できるとはいえ、使い続けると性能は落ちていきます。一般的にドラム缶の再生使用回数は、4~5回とされています。5回め以降や5回目に満たなくても傷などで使用不可能なドラム缶は、ドラム缶更生メーカーにてスクラップされます。新品ドラム缶ではなく再生ドラム缶を使用する場合は、ドラム缶更生メーカーにて更正処理済みのドラム缶を正しく使用しましょう。

再生ドラム缶

方法③ 雨風にさらさない

劣化は、雨風、湿気により進んでいきます。屋外では天候による影響が大きいため、屋内での保管を推奨しています。屋内でも昼夜の寒暖差で劣化が進む場合もあります。それを防ぐためにドラム缶専用の保管庫に収納して保管管理するのも手です。保管庫に収納すれば、劣化対策だけでなく、ドラム缶でいっぱいだった敷地の一角が整理整頓され、敷地内の美観UPにつながります。

ドラム缶の劣化イメージ

方法④ ドラム缶は直置きせず、パレットの上や保管庫で保管管理

ドラム缶の保管管理は、水に浸かる場所は避け、床や地面に直置きしないようにしましょう。床や地面に直置きしていた場合、液漏れが発生すると液体が床や地面に広がり、滑りや引火の原因になる可能性があります。パレットの上や保管庫に保管していれば、パレットや保管庫が液体を受け止め、敷地内の床や地面が汚れる心配がなくなります。

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方法⑤ ドラム缶の転倒や破損を防ぐ保管庫を使う

パレットに載せたドラム缶は、むき出しの状態のためフォークリフトの操作ミスや運搬中の衝撃により破損し、中の廃液が漏れる危険性があります。
漏洩防止パレット付きのドラム缶保管庫を使えば、外部の衝撃からドラム缶を守り、万が一中のドラム缶から廃液が漏出したとしても保管庫が受け皿なることで、運搬車や道路への廃液の漏出を防ぎます。

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パレットと保管庫どちらを使う?メリットとデメリットとは

これまでのお話で、液漏れ防止にはパレットや保管庫が役立つことがわかってきました。
ではパレットと保管庫、どちらがよいのかメリットとデメリットを見ていきましょう。

屋内保存向きで用途が選べるパレット

屋内保存向きパレット

パレット同士を組み合わせて大量のドラム缶を保管することが可能であったり、保管庫よりも軽く移動が簡単であったり、ポリエチレン製もの、ドラム缶から液漏れがあった場合もパレットで液を受け止め、拡散や浸透を防いでくれる製品など様々なパレットがあります。用途に合わせた製品が選べるのもパレットの特徴です。保管庫よりはリーズナブルで、屋内での保管に向いています。ただし、ドラム缶が剥き出し状態になるためドラム缶の転倒、破損のリスクは高くなります。

保管と運搬・防犯性に優れたドラム缶保管庫

優れたドラム缶保管庫

収納庫は、囲いがありフタ付きなので、防滴・防塵性能が高く、屋外での保管に最適です。
鍵付きで施錠可能の保管庫もあるため防犯性にも優れています。ドラム缶を収納したまま、保管庫ごと一気にフォークリフトで運べるので、運搬にも便利です。さらに漏洩防止パレット付きであればもしドラム缶から廃液が漏洩しても、パレットが受け止めてくれるので、床や地面、トラックの荷台に液体が浸透・拡散するのを防ぐことができます。安全性・保管運搬性に優れている分、金額はパレットと比べると高くなります。

まとめ

ドラム缶の劣化防止や液漏れの対策には、ドラム缶保管庫がおすすめ!

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・内容物にあったドラム缶を選ぶ
・新品でない場合は更正処理済みのドラム缶を使う
・雨風にさらさない
・床や地面に直置きしない
・液漏れしたとしても受け止めるパレットや保管庫を使う

ドラム缶の劣化や液漏れを防ぐには、内容物にあったドラム缶を選び、新品でない場合は、更正処理済みのドラム缶を使用すること。地面や床に直置きせず、浸水や雨風を防ぐこと。万が一液漏れしたとしても受け止めてくれるパレットや保管庫を使うことが重要になってきます。
保管庫を使えば、液漏れ防止だけでなく、移動やイタズラ対策にも役立ちます。
ドラム缶の劣化防止や液漏れ対策を進めたい方、廃液の保管方法に困っている方など、この機会に漏洩防止パレット付きドラム缶保管庫の導入をご検討されてみてはいかがでしょうか?

解決ファクトリーでは、導入を検討されている方に向けて、ドラム缶の劣化防止や液漏れ対策に特化した漏洩防止パレット付きドラム缶保管庫を取り扱っています。こちらの商品もぜひご覧ください。

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