アナログメーターは、電流、電圧、温度などの測定値を針を用いて表示する電子計測器です。このアナログメーターは、点検時にその設置場所を巡回し、目視で数値を読み取り記録しています。この業務が日に数回行われてる施設もあり、従業員への負担がかかる業務の一つとされています。
この記事では、日常点検の問題点やデジタル化を進めることで得られるメリットなど詳しく解説します。業務効率化や予知保全のIoT化を進めている施設の方はぜひ参考にしてみてください。
目次
デジタル化が進まない現場の日常点検の課題とは?
生産設備に設置されたアナログメーターのうち全体の87%は目視で点検されています。設備が古く、電源やネットワーク環境が乏しい現場も多く、まだまだ点検者の五感に頼っている状況です。人手不足も影響し、作業員への業務負担が大きく、点検精度やデータの活用など様々な課題があります。
※国土交通省建築保全業務共通仕様書平成30年度版から分析
巡回や記録作業に時間がかかり、人的ミスや人手不足に陥る
目視で点検や巡回を実施していると多くの時間と労力が必要となります。人の手が介在するプロセスが多くなればなるほど、点検漏れや記入ミスなどの人的ミスが発生するリスクが高くなり、設備点検の正確性を担保できなくなります。企業全体で人手不足となっている場合は、点検や巡回に十分な時間をあてられず、人手不足が原因で故障につながるケースも。効率的なトラブルへの対策が求められます。
施設が遠隔地にあり移動のための時間・費用がかかる
施設が山間部や人里離れた場所にあり、移動に多くの時間がかかる場合もあります。移動に長い時間かけた割には正常であるケースも多く、業務効率の悪さから、嫌厭される業務の一つとなっています。このために残業が発生したり、他の業務への支障が出ている場合などがあります。さらには、移動のための交通費や宿泊費などコスト面にも大きな負担がかかっています。
従業員の安全面にも課題が
一部の点検には、高温になる場所や暗く狭い箇所、命綱をかけて登らなければならない高所など作業すること自体が危険な場所もあります。点検作業自体が従業員の精神的、肉体的な負担になっている場合もあり、従業員の命や健康を守るための企業側の対策も課題となっています。
点検データの共有ができない
紙媒体のチェックシートに記録した点検記録は、社内システムに入力しデータとして活用できるようにするには時間と労力がかかります。技術部門・品質管理部門と点検記録を速やかに共有ができず不具合や故障の兆候が見られていても、次の点検時まで発見できないケースもあります。
定年や人材不足による進まぬ技術継承
設備保全の現場では、長年の経験と勘に依存した目視検査というケースが多く見られます。しかし、ベテラン技術者の定年退職や人材不足により、これらの貴重なノウハウが失われつつあります。機械についての知識や修理技術などは短期で修得できるものではなく、継承には教える側・教わる側、双方の人材が必要となります。その一方で、過去の故障・修理の事例についても情報が企業内に蓄積されておらず、若手の育成が進まなくなっている原因の一つにあげられます
人材不足
情報の蓄積不足
目視点検をラクに!業務効率がアップした5つのデジタル化のメリット
これまではアナログメーターを1点ずつ目視で確認していた点検作業。今では、IoTの技術が発展し、これらを自動で読み取りデジタル化することで、設置場所まで出向かずに数値を取得・集計することが可能になりました。既存の点検作業で抱えていた問題が、デジタル化を進めることで、改善され、業務効率アップへとつながっています。ここではデジタル化で業務効率アップへつながた5つのメリットを見ていきましょう。
メリット① 人的ミスの軽減や人材不足解消へ
工場に点在するアナログメーターの数値を自動で取得できるようになると、点検業務の人手を減らすことが可能です。多くのアナログメーターがある大規模な施設では、作業員が現地に出向いて読み取る必要がなくなるため、人材不足に陥っていた企業も時間内に点検を全て終わらせることができ、点検業務にかかっていた時間・労力を削減できます。しかもアナログメーターの数値を自動で収集・集計するため作業員のスキルや経験による点検業務のばらつき防止や点検漏れ・記入ミスを防げるようになり、設備点検の精度や生産性の向上にもつながります。
メリット② 移動の時間や費用もカットできる
目視点検のデジタル化によって、山間部や人里離れた場所にある施設にも出向くことなく遠隔での点検作業が可能になります。これまでかかっていた交通費や宿泊費などのコストカットができ、その分点検業務を担当していた作業員を他の業務に割り当てることもできるため製造現場の業務効率もアップできます。また、高所や高温環境での点検も遠隔で確認できるため作業員も安全に点検を行うことができます。
交通費削減
メリット③ 災害時にも迅速に対応できる
もしも災害が起きた際も、目視点検をデジタル化することによって、遠隔で設備・機器の状況を把握することができます。現地に向かわずとも点検作業が可能なので、従業員の身の安全も確保できます。もし不具合が起きている箇所があれば、そこに必要な人員を配置し、適切な処理ができるため、効率的で素早い対応が求められる際にも力を発揮します。
メリット④ 点検データの共有がスムーズに
点検記録のデータはクラウドで管理されるため、技術部門・品質管理部門など関連の部門との共有が可能になり、業務がスムーズに進むようになります。機器・設備などが故障する兆候を検知することができるため、機器・設備の故障を未然に防ぎ、交換する部品のムダ防止にもつながり、予知保全の精度向上に役立てられます。
メリット⑤ 技術継承の問題も解決!
アナログメーターの読み取りをデジタル化すると、これまで人の手で行ってきた定期的な点検がパソコンの画面を見るだけで常時の監視が可能になります。アナログメーターの数値データを自動かつ継続的に取得することで、通常値から逸脱する変化も表示されるため、知識や経験を積み重ねなくても、不具合や異常の兆候を知ることができます。デジタル化すれば技術継承のための若手育成期間も大幅に短縮できます。
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目視点検作業をデジタル化へ移行する方法は?
実際に目視点検作業をデジタル化へ移行する際に考えられる方法は、ドローン、ロボット、IoTカメラの3つが主な手段になります。最先端の技術で見栄えもよいドローンやロボットの導入を検討される企業さまが多いのも事実ですが、比較的リーズナブルで設置が簡単なIoTカメラを導入いただいている企業さまもいらっしゃいます。ここではその主な3つの手段のメリット・デメリットをご紹介します。
飛行機能を活かした高所点検向きのドローン
ドローンを遠隔で操作し、高性能カメラやセンサーを活用して行うドローン点検。高所や危険な場所での点検が得意で、工場や施設の外観、送電線や基地局鉄塔、道路の点検などに向いています。無人で飛べるため、作業員の安全確保や人員削減もでき、高性能カメラからのデータ収集で目視よりも高精度な点検が可能になります。
多機能センサーで危険箇所&災害時に強さを発揮するロボット
ロボットは、カメラ・匂い・音・温度といった複数のセンサーが搭載可能で、情報をリアルタイムでデータ化できます。遠隔操作ができるため危険箇所の定期点検・日常点検に向いています。
現在では、自動走行ができるロボットも開発され、操縦する時間も取られることなく日常点検が可能になっています。さらに位置情報と組み合わせて災害時の被害もシミュレーションできるため、災害時にも役立ちます。
定点観測に特化。ビル・プラントなどの日常点検向きのIoTカメラ
アナログメーターの前にカメラを設置し、撮影した数値をデジタル化して点検するIoTカメラ。
省スペースでも簡単に設置でき、電源やネットワーク環境が乏しい場所でも使用することができます。ビル、プラント、水処理上施設などの日常点検に適しており、ドローンやロボットに比べ導入費用もリーズナブルなのでコストを抑えたい企業さまにはおすすめです。
まとめ:目視点検デジタル化の導入で、企業の様々な問題が解決できる!
・人的ミスの軽減、人材不足の解消に役立つ
・技術継承の問題も解決できる
・移動の時間や費用がカットできる
・災害時にも迅速に対応できる
・点検データの社内共有ができて業務効率UP
目視点検のデジタル化を進めることで、点検時間や記入ミスなどを減らし、作業員の負担を軽くすることができます。その分、他の業務へ集中させて生産性アップを図ることも可能になります。
コスト面でも交通費や宿泊費がカットできて経費削減につながります。将来の人手不足による技術継承に悩んでいた企業さまも心配がなくなり、企業存続の危機も回避できます。
目視点検のデジタル化は、取り入れるだけで企業の様々な問題を解決し、利益を生み出すことにつながっていきます。まだ目視点検のデジタル化がお済みでない企業さまは、この機会に導入をご検討されてみてはいかがでしょうか?
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