火災を防ぐ防火ドアの仕組みと効果的な対策方法

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工場や倉庫における災害の中でも、最も大きな被害を招く「火災」に備えることは、企業としての義務です。
中でも「防火ドア・防火扉」は、法律でも定められている、工場や倉庫にはなくてはならない防火設備のひとつです。
当たり前の設備として見慣れている防火ドアや防火扉ですが、その仕組みや役割の周知が不十分だったために、いざという時に活用できないというケースも少なくありません。
そこで今回は、防災知識のひとつとして、この防火戸にスポットを当てて考えてみたいと思います。

防火ドアの役割について

一般的に「防火ドア」 「防火扉」「防火シャッター」と呼ばれているものも含めて、正式な名称は「防火戸」と言います。
防火ドアに代表される「防火戸」の役割は、建物の中で火災が広がるのを防ぎ、隣接する建物への延焼を防ぐことです。
火災が発生した際、防火戸が閉まっていれば一時的に火と煙がせき止められるので、その間に避難したり、消防署へ通報したりできます。
そうすることで、火災の被害をできるだけ小さくするのが防火戸の基本的な役割です。

防火戸の設置等に関するルール

防火ドアなどの防火戸は

  1. 1.一定の区画ごとに設置すること(防火区画)
  2. 2.対炎性ある素材で作られること

などが、消防法で定められています。

工場・倉庫の防火区画「面積区画」について

防火区画とは、ある一定の区画を設けて、その区画から他の区画に火災が燃え広がらないように防火処理を施すことで、具体的な方法は建築基準法施工令に定められています。

倉庫や工場の防火区画に関わるものとして「面積区画」があります。
面積区画は防火区画の一種で、火災の拡大で消火・救助活動が困難にならないよう、炎を局部に止めるために、建物の内部を一定面積以下とするというものです。

建物の用途によって耐火要求は異なり、何に使用する倉庫や工場なのか、また、面積や階によって、耐火建築物・準耐火建築物の義務付けが変わってきます。

対炎性ある素材

建物ごとに決められた基準に則り、特定防災設備としての防火戸では1時間、防災設備としての防火戸では火災が起きてから20分間のあいだ、炎をせき止めることが防火戸に求められています。
この性能を満たす鉄などの素材が、 防火戸の材料・構造として、建設省によって認められています。

防火戸の種類と仕組み

防火ドアなどの防火戸は、特定防火設備の防火戸と、防火設備としての防火戸に分類されます。

特定防火設備の防火戸

特定防火設備は、火災の火炎を受けても1時間以上火炎が貫通しない構造のものと規定されています。
一般的に言われる防火ドアなどはこの特定防火設備の防火戸です。
特定防火設備の防火戸には「常時閉鎖式防火戸」と「随時閉鎖式防火戸」の2種類があり、それぞれに特徴があります。

常時閉鎖式防火戸

普段は閉まった状態にある防火ドアを常時閉鎖式防火戸と言います。
防火戸で多く使用されているのがこのタイプです。
扉を開けて人が出入りすると、ドアクローザーによって自動的に閉まる仕組みです。
大きく開いてもロックされず、手を放すと必ず扉が閉まる仕組みになっています。
常時閉鎖式防火戸は、火災初期の煙の流入を防ぐ効果が高く、避難階段(非常階段)のたて穴区間での使用が推奨されています。

随時閉鎖式防火戸

普段は閉鎖していないので、普通に通行できるようになっていて、シャッターやドアは、天井付近、壁側などに収納され、火災が起きた時に、火災報知器などと連動して自動的閉鎖する仕組みです
常閉防火戸に比べてコストはかかりますが、開放状態で固定する必要がありません。
開口部閉鎖に鉄製の扉がスイングして閉鎖する防火ドア、天井からシャッターが降下してきて閉鎖する防火シャッターなどがあります。

防火設備としての防火戸

特定防火設備とは異なり、火災の火炎を20分間以上遮るものがこれにあたります。
鉄製の網入りガラスの入った金属製サッシや、袖壁などの主として建築物の外部からの火災の延焼を防ぐ為に開口部に設置されるものです。
20分以上火炎を遮れれば良いので、特定防火設備の防火戸やドレンチャーも防火設備としても使用可能です。

よくある防火戸の管理不備の事例

ここからは、一般的に「防火ドア」「防火扉」と呼ばれる、特定防火設備の防火戸について、お話しします。

国内でこれまでに発生した重大な火災事故で、防火戸に関わる不備のケースです。

【常時閉鎖式防火戸の不備】

普段通行しやすいように、従業員によって、ロープやドアストッパーでによって解放状態で固定されていたため、避難はできたものの、本来の「防火戸」としての機能を果たせなかった。

【随時閉鎖式防火戸の不備】

シャッターの降りる場所に荷物が置かれていて、戸が完全に地面に接地できず、完全に閉鎖ができなかったため、本来の「防火戸」としての機能を果たせなかった。

【整備や点検を怠った】

防火ドアの老朽化や、故障などにより正しく動作しない、またはドアを閉められないなどで、本来の「防火戸」としての機能を果たせなかった。

このような事態が発生した場合、本来なら最小限で食い止められる火災が、大事故につながったり、消防法や建築基準法違反を指摘されるケースもあります。

BCP(事業継続計画)の観点からも、防火戸に付随する防災設備や周辺環境の点検や整備は後回しにできない問題です。いざというときに被害が最小限で住むよう、日頃から、全従業員の方への周知をする・扉の近くに案内を掲示するなど、継続した働きかけを行いましょう。

まとめ

  • 防火ドア・防火扉・防火シャッター等の、正式名称は「防火戸」という。
  • 防火戸は、建物の中で火災が広がるのを防ぎ、隣接する建物への延焼を防いでくれる。
  • 防火戸には、防火区画や対炎性など設置や素材の基準がある。
  • 防火戸には、特定防火設備の防火戸と防火設備としての防火戸がある。
  • 特定防火設備の防火戸には、常時閉鎖式と随時閉鎖式がある。
  • 重大な火災事故を防ぐために、防火戸の整備や点検は常日頃から行うべき。

今回は、防災対策の中でも重要な防火ドアをはじめとする「防火戸」についてお話ししてきました。工場や倉庫にとって、最も起こって欲しくない災害である「火災」から、従業員や資源、そして事業そのものを守るためには、「防火」に関する意識を高めることが必要です。
安定した経営、 BCP(事業継続計画)の視点からも、普段は気に留めない防火扉や防火ドア、防火シャッターなどについて、今一度見直しを行ってください。

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