精密機器の輸送中に振動や衝撃が原因で故障する——
こんなトラブルに悩んでいませんか?
エアサス(エアサスペンション)対応のトラックを手配しているのに、荷下ろし時や長距離輸送中の微振動によるトラブルが発生してしまう。このような課題を解決する手段のひとつとして「防振パレット」の導入が注目されています。
防振パレットは荷物自体を振動から守るツールに対し、エアサスはトラックの振動を和らげる装置です。実は防振パレットの輸送時の振動は、エアサス車以上に発生しません。
この記事では、防振パレットとエアサスの違いをわかりやすく解説し、それぞれのメリット・デメリットを比較します。精密機器輸送に最適な防振パレットの選び方や、導入するメリットについても詳しく紹介します。記事を読めば、自社の輸送環境に適した選択ができ、輸送トラブルの削減とコストダウンが実現可能です。
「エアサス車だけでは不安」「防振パレットを導入するべきか迷っている」と悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
防振パレットとエアサスの特徴を解説

防振パレットは荷物自体を振動から守る装置で、輸送中に発生する細かい振動や積み下ろし時の衝撃を吸収します。一方、エアサスはトラックの車体全体の振動を抑える仕組みで、路面からの衝撃を和らげる装置です。
どちらも振動対策として優れていますが、精密機器のように微細な振動によって影響を受ける荷物には防振パレットが効果的です。ここでは、防振パレットとエアサスの特徴と仕組みについて詳しく解説していきます。
防振パレットの特徴と仕組み

防振パレット は、輸送中の振動や衝撃から荷物を保護するために設計された特殊なパレットです。パレット自体に防振構造が組み込まれており、内部の振動吸収材やダンパーによって振動を大幅に軽減します。
防振パレットの主な特徴は以下のとおりです。
- 特徴① 輸送中の荷台の振動を削減する
防振パレットは、振動吸収材や防振ゴムを活用することで、精密機器の輸送時に微細な揺れを低減できます。
- 特徴② 積み下ろしの衝撃を吸収する
防振パレットは、フォークリフトなどで持ち上げたり置いたりする際の衝撃を和らげ、機器の損傷リスクを減らします。
- 特徴③ モーダルシフトに貢献する
防振パレットを活用することで、貨物の安全性を確保しながらトラック以外の輸送手段を活用しCO₂排出量削減にも貢献できます。
モーダルシフトとは、環境負荷の低減を目的に、トラック輸送から鉄道・船舶輸送へ切り替えることです。モーダルシフトについては国土交通省の資料で詳しく解説されています。
エアサス(エアサスペンション)の特徴と仕組み

エアサス(エアサスペンション) は、トラックの車軸に装備される空気圧を利用したサスペンションシステムです。従来の金属バネ式サスペンションと異なり、空気バルーンを使って路面の衝撃を和らげる仕組みを利用しています。
エアサスはトラック全体の振動を抑えることで、貨物が荷台内で揺れるのを防ぎます。特に食品・飲料などの液体輸送に適しており、安定した輸送が可能です。ただし、完全に振動を遮断するわけではないため、荷物の振動や衝撃対策は必ずしなければなりません。
エアサスの仕組みや導入のメリットについては、全日本トラック協会の資料もご確認ください。
防振パレットとエアサスの違いを比較

防振パレットとエアサスは、どちらも輸送時の振動対策として利用されますが、以下の違いがあります。
比較項目 | 防振パレット | エアサス(エアサスペンション) |
振動対策 | 積み荷の振動を吸収 | トラック全体の振動を軽減 |
輸送コスト | 1台あたり数万円
初期費用のみ |
輸送ごとに数万円
継続的に発生 |
メンテナンス
耐久性 |
ほぼ不要
(パレット交換のみ) |
定期的なメンテナンスが必要 |
防振パレットはパレット自体に振動吸収機能を備えているため、精密機器や振動に弱い製品の輸送に適しています。エアサスはトラックの荷台への衝撃を抑えることで、食品や大型設備などの輸送時に安定した運搬が可能です。
具体的に輸送時の揺れ・コスト・耐久性の違いについて詳しく見ていきましょう。
輸送時の揺れの違い
輸送時の振動対策として、防振パレットとエアサスは以下の違いがあります。
- 防振パレット:パレット自体がクッションの役割を持ち、振動を直接吸収する
- エアサス:トラックのサスペンションが路面の衝撃を和らげる
防振パレットには、内部にクッション材やダンパーが組み込まれており、積み荷に伝わる微細な振動を吸収します。長時間の輸送中でも精密機器が揺れにくくなり、荷下ろし時も大きな衝撃は発生しません。エアサスは車両全体の振動を軽減しますが、積み荷自体の振動は抑えられないため、積み荷には振動対策が必要です。
通常のトラック走行では積み荷に5.2Gもの振動がかかるのに対し、エアサスを装備したトラックを利用すると2.3Gまで軽減することが確認されています。しかし、防振パレットを活用すると1.2Gまで振動を抑えられ、より安全な輸送が可能です。
<一般トラックでの走行試験結果>

岐阜県岐阜市~大阪府枚方市
(往復)
木製防振パレットを使用
(搭載荷重500kg)
<エアサストラックでの走行試験結果>

神奈川県横浜市~千葉県袖ケ浦市
(往復)
<グラフの説明>
振動加速度計から得られた3軸合成加速度の5分毎のピーク値をプロットしたものです。
平均値は0.5G以上のピーク値を平均化したものです。
低減率は平均値の比較です。
医療機器や精密機器の輸送では、わずかな振動差が機器の故障リスクを大きく左右するため、防振パレットの導入は非常に効果的な対策です。
輸送コストの違い

防振パレットとエアサストラックのコストを比較すると、初期導入費用やランニングコストに大きな差があります。
項目 | 防振パレット | エアサストラック |
初期導入コスト | 7万~25万円(1台あたり) | 500万円~(新車価格) |
レンタル費用 | 2万~5万円/回 | 10万~30万円/回 |
運送会社手配費用 | 通常トラック料金 + 数千円 | 通常トラック料金 + 数万円 |
維持コスト | ほぼ不要(交換時のみ) | エア漏れ修理・部品交換が必要 |
都内でエアサストラックをチャーターすると、数万円~10万円かかります。
- 30km:22,300円
- 50km:28,400円
- 100km:41,000円
- 300km:73,700円
- 500km:104,790円
長期的なコストを考慮すると、防振パレットの方が導入費用は安く、維持費も抑えられるため経済的です。
メンテナンスと耐久性の違い
防振パレットとエアサスは、それぞれ耐久性やメンテナンスの手間も異なります。防振パレットの耐久性は、5~10年の耐久性がありメンテナンスの必要がほとんどないため、導入後の管理が容易です。輸送時の負荷が大きい環境では、パレットの劣化が進みやすくなるため、定期的な点検や交換を計画しましょう。
エアサスは、空気圧を利用したサスペンションシステムであるため、経年劣化や部品の摩耗による影響を受けやすいのが特徴です。エア漏れやコンプレッサーの不具合が発生しやすく、定期的な点検や部品交換が必要になります。エアサスの交換目安は5~10年程度ですが、使用環境によっては頻繁な交換が必要です。
長期間の運用を考えた場合、メンテナンスコストのかからない防振パレットの方が経済的でおすすめです。
【シーン別】防振パレットとエアサスを選ぶポイント

輸送する貨物の種類や輸送環境によって、防振パレットとエアサスのどちらが適しているかは変わります。防振パレットとエアサスを選ぶ際は輸送するシーンに応じて、適切な方法を選ぶのがおすすめです。
輸送シーン | おすすめの選択肢 | 理由 |
精密機器
(半導体・医療機器) |
防振パレット | 微細な振動を吸収し、衝撃から貨物を守るため |
食品・飲料
(ワイン・生鮮食品) |
エアサス | 長距離輸送時の揺れを抑え、品質を保持するため |
大型設備
(工作機械・変圧器) |
エアサス | 走行時の振動を最小限に抑え、安定輸送が可能 |
海上輸送・航空輸送
(国際輸送) |
防振パレット | 積み降ろし時の衝撃対策が必要なため |
輸送する貨物ごとにどちらを選ぶべきか詳しく解説します。
精密機器を運ぶときは防振パレット
精密機器は微細な振動でも故障や性能劣化のリスクがあるため、振動を直接吸収できる防振パレットを使用するのが最適です。エアサスを装備したトラックであれば、路面の衝撃を和らげられますが、積み下ろし時の衝撃やトラック以外の移動では振動を吸収できません。
特に以下のような場面では、防振パレットの効果が最大限に活かせます。
- 精密測定機器の輸送
- 半導体製造装置の輸送
- 医療機器の輸送
上記の振動に敏感な機器を輸送する際は、エアサスと防振パレットを組み合わせて活用するのも有効です。しかし、輸送コストが高くなるため、防振性能の高い防振パレットを選べば、コストパフォーマンスが高く安全に輸送できます。
食品や飲料・生ものを輸送するときはエアサス

食品や飲料は、トラック全体の揺れを抑えるエアサスが適しています。食品や飲料は、輸送中の振動により品質劣化や荷崩れする可能性があるためです。ワインや乳製品などの液体は細かい振動の影響を受けやすく、長時間の振動が続くと風味や品質が劣化することがあります。
冷凍・チルド食品は、揺れによって商品の崩れやパッケージが破損し、安全性や品質に与える影響が大きいです。エアサスを使用すると、トラック全体の振動を吸収し、食品や飲料の品質を維持しながら輸送できるのがメリットです。
大型設備を輸送するときはエアサス
工場設備や工作機械などの大型設備の輸送ではエアサスが最適です。大型設備は、長距離輸送時の路面の凹凸や衝撃の影響を受けやすいため、エアサスを使うことで衝撃を最小限に抑え、安定した輸送ができます。
クレーンでの荷役作業が必要な場合も、大型設備はパレットに載せずに輸送されるケースがほとんどです。積み下ろしの際の負荷を減らす目的でも、エアサスの衝撃吸収効果が有効です。大型設備は防振パレットに収まらないサイズの機器が多いため、大型設備の輸送で振動を避ける場合はエアサスを選びましょう。
海上や空路を輸送するときは防振パレット

海上輸送や航空輸送では防振パレットが非常に活躍します。海上や空送はトラックのような細かい振動は少ないものの、積み下ろし時や輸送中の衝撃によるダメージが大きいためです。
海上や空路の輸送で防振パレットが有効な理由は以下のとおりです。
<ulv>
- 船舶や航空機でのコンテナの積み替え時に発生する衝撃を和らげ、荷物の破損を防ぐ
- 長時間かかる海上輸送で、途中の揺れや積み替えの荷崩れを防ぐ
- 海上で発生するゆったりとした波の揺れから機器への負担を軽減する
積み下ろし時の振動や載せ替えが多く発生するシーンで、防振パレットは有効です。高価な精密機器や医療機器の輸送では、防振パレットを活用することで安全性が向上します。
防振パレットの選び方とおすすめ商品

防振パレットにはさまざまな種類があり、用途に応じて適切なものを選ぶことが重要です。用途を誤って選択すると、十分な振動吸収効果が得られず、輸送時のトラブルが発生する可能性があります。
ここでは「防振パレットを導入したいが、どのような基準で選べばよいかわからない」といった悩みに対し、防振パレットを選ぶ際の4つの重要な基準を解説します。適切な防振パレットを選ぶことで、輸送時のトラブルを大幅に削減し、精密機器や高価な設備をより安全に運びましょう。
防振パレットの選定基準
防振パレットを選ぶ際には、以下の4つの基準を考慮することが重要です。
- 耐荷重
- 振動吸収性能
- 価格
- 耐久性
それぞれの選定基準を防振パレットの材質ごとにまとめたものが以下の表です。
選定基準 | 木製
段ボール製 |
EPS
ゴム製 |
金属製 | サスペンション製 |
①耐荷重 | 軽量機器向け
(100kg未満) |
中型機器向け製
(100~500kg) |
重量物向け
(500kg以上) |
大型設備向け
(500kg以上) |
②振動吸収性能 | 中程度 | 高い | 中程度 | 高い |
③価格 | 7~10万円 | 8~9万円 | 15~20万円 | 20~25万円 |
④耐久性 | 短期間の使用向け | 比較的長持ち
防水性あり |
高耐久
長期間使用可能 |
非常に高耐久
長期使用可能 |
※価格は参考値です
上記の表を参考にすれば、輸送する荷物や環境に適した防振パレットを選びやすくなります。用途に応じて適切な防振パレットを選び、安全な輸送を実現しましょう。
防振パレットなら解決ファクトリーにお任せください

輸送時の振動や衝撃から大切な荷物を守るためには、適切な防振パレットを選ぶことが重要です。解決ファクトリーでは、多様なニーズに応じた高品質な防振パレットを提供しています。
弊社が提供する防振パレットの強み
- 豊富なラインナップ
- 用途に応じた最適な提案
- 振動試験をクリアした高品質な製品
防振パレットのラインナップの一部として、以下の製品が提供できます。
項目 | 木製防振パレット![]() |
EPS軽量防振パレット![]() |
マルチ防振パレット![]() |
---|---|---|---|
材質 | ユーカリ合板 | 発泡スチロール(EPS) | スチール |
サイズ | 1100×1100mm | 1000×1200mm | 1000×1000mm |
製品重量 | 20kg | 9kg(汎用)
10kg(高減衰) |
110kg |
搭載重量 | 最大500kg | 最大500kg | 最大1000kg |
特徴 | カスタマイズ性が高く、製品ごとに
専用形状のパレットを作成可能 |
超軽量で手作業での取り扱いが容易。
航空輸送に最適 |
多機能で、多品種製品の
繰り返し輸送に適している |
高品質で用途に合った防振パレットを選ぶことで、輸送中のトラブルを防ぎ、製品の品質を確保できます。どれを選んでいいかわからない場合でも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。専門スタッフがご相談に応じます。
輸送の振動を考慮して物流トラブルを減らそう

輸送時の振動対策は、精密機器や食品などデリケートな荷物を扱う企業にとって重要な課題です。防振パレットとエアサスにはそれぞれ特徴があり、用途に応じて適切な対策を選ぶことで、物流トラブルの削減につながります。
以下の表に、防振パレットとエアサスの主な違いをまとめました。
項目 | 防振パレット | エアサス |
振動対策の対象 | 積み荷自体の振動を抑える | トラック全体の揺れを抑える |
仕組み | クッションやダンパーで
直接振動を吸収 |
空気バルーンで
路面の衝撃を和らげる |
適した輸送物 | 精密機器、医療機器、
鉄道・海上輸送 |
食品・飲料、大型設備、
長距離輸送 |
コスト | 7万~25万円(種類による) | 車両導入費500万円~、
レンタルもやや高額 |
メンテナンス | 基本不要
(耐久性が高い) |
定期的な点検
エア漏れなど修理が必要 |
エアサスとは違い、手軽に導入できる防振パレットのメリットは以下のとおりです。
- 輸送中のトラブルを減らし、クレームを削減できる
- 荷崩れや破損を防ぎ、品質管理の向上につながる
- 物流効率を高め、コスト削減や業務負担が軽減できる
輸送中の振動は、荷物の品質や輸送コストに大きな影響を与えます。記事内容を参考に適切な防振パレットを選び、安全で効率的な輸送を実現しましょう。防振パレットの導入を検討されている方は、防振パレット商品ページでラインナップをチェックし、最適な防振対策を見つけてください。
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