はじめに

解決ファクトリ―の金岩です。先日、栃木県宇都宮市にある製造工場を訪問してきました。この工場では、部品の運搬に自動搬送ロボット（AGV）を活用されていますが、人との接触事故防止について相談を受けました。現場の状況を確認し、最適な安全対策について打ち合わせをしてきましたので、その内容をレポートします。

潜む危険：AGVと人が交錯する自動ドア付近の課題

今回訪問させていただいたのは、栃木県宇都宮市に拠点を置く製造工場様です。こちらの工場では、製造に必要な部品をAGVが自動で運搬しており、生産効率の向上に大きく貢献しています。しかし、その運搬経路の途中に、人が頻繁に通行するエリアが3箇所存在していました。

これらの箇所には自動ドアが設置されており、人やAGVが接近すると自動で開閉する仕組みになっています。一見、安全に配慮されているように思えますが、担当者様は「ドアが開いた瞬間に、人とAGVが出会い頭に接触してしまうのではないか」という懸念を強く持っていらっしゃいました。

現場を拝見すると、確かにその3箇所は人の往来が非常に多いエリアでした。特に、休憩時間やシフト交代のタイミングでは、従業員の方々が一斉に移動するため、AGVとの接近遭遇リスクは格段に高まります。AGVは決められたルートを走行しますが、人は必ずしも最短距離を通るとは限りませんし、急いでいる時などは特に周囲への注意が散漫になりがちです。自動ドアが開くタイミングと、人やAGVの通過タイミングが偶然重なってしまった場合、重大な接触事故につながる可能性は否定できません。安全を最優先すべき工場において、この状況は見過ごせない課題であると私たちも認識しました。

過去の成功体験：「ヒヤリハンター」による安全実績

実は、こちらの工場様では、7年前に同様の課題があった別の2箇所に、接近検知システム「ヒヤリハンター」を既に導入いただいていました。ヒヤリハンターは、センサーがAGVの移動体を検知し、設定された距離まで近づくと警告音やランプで注意喚起をすることができるシステムです。

担当者様にお話を伺うと、この7年間、ヒヤリハンターを設置した2箇所では、AGVと人の接触事故の発生はしておらず、ヒヤリハット（事故には至らなかったものの、ヒヤリとしたりハッとしたりする危険な状況）の報告も大幅に減少したとのことでした。「7年間、問題なく運用できており、非常にうまくいっている。だから今回も同じ方法で対策するのがベストだと考えている」と、担当者様はヒヤリハンターの効果を高く評価されており、その実績に基づいた信頼感をお持ちでした。

この「過去の成功体験」は、今回の課題解決において非常に重要なポイントです。お客様自身が製品の効果を実感し、信頼してくださっているからこそ、新たな課題に対しても同じソリューションを選択しようと考えられているのです。これは、ヒヤリハンターが工場の安全対策として有効に機能してきたことの何よりの証拠と言えるでしょう。