2023年施行迫る! 省エネ法の改正ポイントと対策方法

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2022年5月に改正が決定し、2023年4月からの施行を予定している「省エネ法」。
今回の改正では新たな規制が設けられ、工場など事業者が取り組まなければならない課題も追加されています。

企業をはじめ、社会全体にとって深刻な問題である「カーボンニュートラル」など、地球温暖化に対するアクションを含めて、この「省エネ法」の改正は大きな意味を持つことになるでしょう。
そこで、改めて省エネ法の基礎知識を確認しながら、法改正に対する取り組み方、今すぐできる対策などをご紹介していきます。

省エネ法とは

省エネ法と呼ばれるこの法律は、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」です。
経済的社会的環境に応じて、燃料資源を有効利用するためのエネルギー使用の合理化や、電気需要の平準化に関する所要の措置を定めたもので、その目的は「国民経済の発展への寄与」であり、環境を守りながら社会経済活動を進めるための指針です。

オイルショックを機に制定され、今日に至るまで時代に応じた改正が続く

日本の産業が石油に依存していた高度成長時代に数か月で原油価格が4倍に高騰したことで起きた混乱、いわゆる「オイルショック」を機に1979年に制定されました。

建築物に関する規定は2017年より建築物省エネ法に移行するなど、制定されてから2018年までに8回時代に合わせた改正が行われています。

省エネ法「工場・事業場」と「運輸」の直接規制

この省エネ法は、「直接規制」と「間接規制」の2つに分類されています。

直接規制=「工場・事業所」「運輸」
間接規制=「機械器具などの製造や、その輸入事業者」

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出典:経済産業省「省エネ法の概要」

では、工場などに関わる直接規制について見ていきましょう。

「直接規制」は、省エネに対する取組を実施する際、目安となるべき判断基準を達成するために、努力義務の遂行が必要です。
また、一定以上のエネルギー使用事業者が「報告義務対象者」となり、エネルギー管理者などの専任義務、中長期計画書提出義務、エネルギー使用状況などの報告義務があります。

例えば、工場や事業所で、事業者全体の年間エネルギー使用量が合計1500kl以上に至る場合、国に使用量を届け出る義務が発生します。

運輸分野の対象事業者は、保有車両トラック200台以上などに当てはまる特定貨物または旅客運送事業者、年間輸送量3000万トンキロ以上の特定荷主で、中長期計画提出、業務関連のエネルギー使用量の定期報告義務などを負います。
特に中長期計画の作成は年1回、国土交通大臣への提出が必要ですが、省エネへの取り組みが優良との評価を受けた場合は「一定条件達成」として、中長期計画の提出義務はなくなります。

このように工場や運輸の事業者は、エネルギー事業に関して直接規制を受けています。
規制に則って、積極的に省エネに取り組みながら、事業を推進する義務があります。

省エネ法改正のテーマは非化石エネルギー導入

省エネ法の基本がわかったところで、今回の改正にについて見ていきましょう。
今回の省エネ法改正のポイントは、カーボンニュートラルである非化石エネルギー導入です。
経済産業省では、エネルギーの定義の見直しと非化石エネルギーへの転換について、次のように表明しています。

・化石エネルギーのみならず、非化石エネルギー(水素・アンモニア等)の使用も合理化することで、エネルギーの安定供給の維持につなげていくことが必要である。
 →「このため、現行 省エネ法の「エネルギー」の定義を見直し、使用の合理化の対象を非化石エネルギーを含む全てのエネルギーに拡大する。

・カーボンニュートラルの実現に向けては、供給サイドのみならず、需要サイドでの非化石エネルギーへの転換を進めていくことが必要である。
→このため、エネルギー多消費事業者に対し、非化石エネルギーへ の転換に関する中長期計画の作成や、非化石エネルギーの使用状況の定期報告等を求める。

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出典:経済産業「省安定的なエネルギー需給構造の確立を図るための エネルギーの使用の合理化等に関する法律等(※)の一部を改正する法律案の概要」

このように経済産業省は、原油換算のエネルギー使用量が年間1500kl以上の特定事業者(約1万2000社)に対して、非化石エネルギー導入目標の設定義務を課しています。
つまり特定事業所は、二酸化炭素の排出がないエネルギー「水素やアンモニア、太陽光発電、原子力」について、導入目標を決める必要があるということです。

工場の省エネ化を担う「太陽光発電」のメリット

今回の省エネ法改正により、今後の工場における電力の主流が、省エネ対策の一環として最も身近で、取り組みやすい太陽光発電にシフトすると予想されます。

太陽光発電システム導入が企業にもたらすメリットは3つ。

1. 太陽光は省エネ法対象外であるため、会社の消費電力を賄いながらエネルギー消費原単位の低減につなげることができる。
2. 資本金1億円以下、従業員数1,000人以下なら、太陽光導入が税制優遇「中小企業経営強化税制」の対象となる。
3. 太陽光発電施設の設置面積は、環境施設面積として算入できるため、工場立地法をクリアしやすくなる。

この他にも、「環境確保条例の対象になる」など、優遇措置を設けている自治体もあります。

様々な太陽光発電がある中で、いち早く効果的な省エネ対策に取り組みたい事業者におすすめなのが、「工場用自家消費型太陽光発電システム」です。
一般のソーラーシステムとは異なり、工場向けの大型ソーラーパネルを設置にすることで、温室効果ガス削減と同時に、電気に関わるコスト削減も期待できます。
いずれにしても、自社の目的に合った、太陽光発電システムの導入は、省エネ法改正に向けた最優先課題のひとつと言えそうです。

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電力消費を効率化する最大需要電力(デマンド)コントロール

もうひとつ、考えておくべき省エネ対策が、最大需要電力(デマンド)コントロールです。
日々操業を行う工場や製造業では、省エネと電力消費のバランスを保つことが容易ではありません。
デマンドコントロールに取り組むことで、電力ロス抑制を通し、再生可能エネルギーの電力効率を高めることで、電力使用の最適化が実現します。

経済産業省では、余剰電力を支える新たな枠組みも導入し、製造業界を含む社会全体に対して、再生エネルギーの有効活用を促しています。
具体的には、企業や一般家庭で、太陽が出る昼間など電力余剰が出た場合に、別の施設や世帯が使えるようにするものです。

このように省エネを実践する上で、デマンドコントロールをはじめとする電力使用の最適化に役立つのが、電力ロスを軽減する節電ユニットシステムです。
システムを導入することで、電気使用量が減りコストの削減にもつながります。

解決ファクトリーでは、工場や事業所に最適な「次世代節電ユニット エコモ」をご紹介しています。

省エネ対策で企業が優先すべきテーマとは?

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省エネ法改正のポイントからもわかるように、今後の省エネ対策で企業が最も優先すべきテーマは「CO2削減」です。省エネ=コスト削減も大きな要因のひとつですが、まずは第一に「カーボンニュートラル」を考えることが大切です。
何故なら「カーボンニュートラル」は、人類の未来にとって決して目を背けることのできない、重大なミッションだからです。

カーボンニュートラルとは何か?

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します。
地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、2015年にパリ協定が採択され、世界共通の長期目標として、次のように合意しました。

• 世界的な平均気温上昇を工業化以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(2℃目標)
• 今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること

この実現に向けて、世界が取組を進めており、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げているところです。

そして、2020年10月、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。

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出典:環境省ホームページ 

カーボンニュートラルを目指す理由

カーボンニュートラルの目的は「気候危機を回避するため」です。
世界の平均気温は工業化以前(1850~1900年)と比べ、2020年時点で既に約1.1℃上昇していて、このままの状況が続けば、更なる気温上昇も予測されています。
また、国内外で発生している気象災害も、これに起因している可能性が指摘されています。
豪雨や猛暑のリスクが更に高まれば、農林水産業、水資源、自然生態系、自然災害、健康、産業・経済活動等への影響が出ることは避けられません。

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出典:環境省ホームページ 

環境省では、「カーボンニュートラルの実現に向けて、誰もが無関係ではなく、あらゆる主体が取り組む必要がある」と警鐘を鳴らしています。
「将来の世代も安心して暮らせる、持続可能な経済社会をつくるため」、今から、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、取り組む必要があるのです。

特に、CO2排出量の多い工場や製造業は、最も積極的に「カーボンニュートラル」に取り組むべき分野のひとつです。
これらを十分に理解した上で、事業者としての社会的責任を自覚しつつ、企業の信頼性向上のためにも、カーボンニュートラルを考える必要があるのです。

環境への取り組みが企業の信頼性を向上させる

企業でも、気候変動問題や労働問題など世界的な社会課題が顕在化している中、企業が長期的な成長をしていくために「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の要素を考慮した「ESG経営」の採用例が多くなってきました。

持続可能な世界を実現するために、共通の目標やターゲットを定めた2030年までの国際目標であるSDGs(2015年の国連総会で採択された持続可能な開発目標)が注目されています。
一方で、「ESG」は2006年に国連が「責任投資原則」を提唱したことから、企業の長期的な存続を評価するための指標としても重要視されてきました。

ESGの観点が薄い企業はリスクを抱えた企業であり、長期的な成長ができない企業である
という認識が、機関投資家の間でも急速に広がってきています。

このように、再生可能エネルギーやカーボンニュートラルなど環境への取り組みとその姿勢は、企業の評価に大きく影響すると言えるでしょう。

カーボンゼロで競争力のある工場へ

では、工場など製造業をはじめとする事業者が、CO2ゼロ工場(カーボンニュートラル工場)を実現することで、どんな変化が起こるのでしょうか?具体的に見ていきましょう。

1.競争力アップ
これまで大企業が中心であったSDGsを意識した環境への取り組みは、関連する取引先などへも波及しつつあります。競合他社に先駆けて環境対策、特にカーボンニュートラルに取り組むことで、信頼度も注目度も高くなり、先行者利益を獲得する可能性が高くなります。
つまりは「選ばれる」企業になれる、ということです。

2.コスト低減
CO2ゼロの実現は、省エネ対策にもつながります。エネルギーの見直し、使い方の工夫で、燃料費や光熱費などのコストを抑えることが可能になります。

3.従業員の意識向上
自社が積極的に環境への取り組みを行うことで、従業員の社会貢献、SDGsなどへの参加意識が芽生えます。
意識が変わると、個々のモチベーションアップにも繋がり、生産性も向上します。

4.資金調達を有利に
「環境への取り組み」の有無は企業評価に影響します。カーボンニュートラルにいち早く取り組んでいるという事実は、資金調達の際にも、投資家や金融機関の判断に有利な材料となります。

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補助金や優遇制度を活用した省エネ対策

これから省エネや再生エネルギーを導入する事業者は、設備更新などの経費を一部カバーできる「補助金」の活用、税制優遇を視野に入れて進めることで、よりスムーズに省エネ対策に取り組むことが可能になります。

先進的省エネルギー投資促進支援補助金

経済産業省では、省エネルギー投資促進に向けた支援補助金を設定しています。
「先進的省エネルギー投資促進支援事業」では、事業者の更なる省エネ設備への入替を促進するため、「先進設備・システム」、「オーダーメイド型設備」の導入を支援しています。

令和4年度先進的省エネルギー投資促進支援事業の概要

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C区分の指定設備導入事業における指定設備は下記15設備

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出典:経済産業省

年度によって内容や募集期間も異なりますが、令和4年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」は2次公募を開始しています。
2次公募期間:令和4年7月19日(火)~令和4年12月16日(金)
(補助金申請額が予算に達した時点で公募を締め切り)

このように、政府は省エネや再エネを取り入れる企業を支援するために、予算を取って補助金制度設けています。
省エネ、環境への取り組む際には、このような補助金制度の活用も視野に入れて計画しましょう。

税制優遇制度

省エネでの取り組みで、税制面で優遇措置を受けられる制度もあります。

例えば、太陽光発電を工場に取り入れる際に、知っておきたい優遇措置が、中小企業経営強化税制(設備投資減税)です。

太陽光発電など、特定の設備を導入した際に「税額控除」か「即時償却」の支援が受けられる制度で、「中小企業経営強化税制」という呼び方以外にも「設備投資減税」と呼ばれることもあります。

① 税額控除(設備費用の税額を最大10パーセント控除)
② 即時償却(初年度の節税に繋がる)
上記のいずれかを選択して適用できるため、企業の金銭的負担を大きく減らすことができます。

優遇措置は、年度によっても異なり、今後も新しい制度が設定される可能性もあります。
常に最新の情報をキャッチして、省エネ対策に取り組みましょう。

中小企業庁:中小企業税制 〈令和4年度版〉はこちら

簡単・低コストでできる工場の省エネ対策

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省エネ対策への取り組みに対して、設備投資などにかかるコストの壁を感じている事業者も少なくありません。
しかし、実際は低コストで簡単に取り入れられる省エネ対策もあります。
現在の省エネ法では「再生エネルギー導入」が強調されていますが、全体的な省エネ対策も引き続き推進しています。

ここでは有効な省エネ対策として、電力会社の切り替えや照明管理の向上、空調自動管理システムの導入など、容易に取り組める省エネ対策をご紹介します。

電力会社の切り替え

まずは電力会社の見直しでコストを削減
電気代が高いと感じている事業者は、電力会社の切り替えを検討してみましょう。
省エネ対策で推し進められているのが、太陽光発電の導入ですが、工場や製造業では必要十分な電力をカバーできない可能性があります。
太陽光発電の導入の前に、まずは電力会社の見直しも非常に有効です。
複数の電力会社同士で、同じ発電量に応じた料金を比べて検討してみると、その料金に差があることがわかります。

見直し後の料金はしっかり予測しておく
また、契約変更前はシミュレーションも大切です。
自社の使用量や使用環境と、電力会社のサービス内容や料金が合っているか?実際に電気料金がどうなるのか?短期ではなく、長期的な観点から検証することが大切です。
電力会社変更後に実際の電気料金が下がらないどころか、逆に上がってしまうケースもありますので、慎重に進めてください。

照明管理の見直し

施設内の照明の見直しは、手軽で有効な省エネ手段です。
白熱灯より発熱が少なく、寿命が長く明るいLEDなど、新しいタイプの照明に変えることで、節電効果を期待できます。
こまめに照明を消す習慣を徹底することでも、省エネ効果は得られます。
また、稼働体制の見直しにより、工場内の滞留時間が短縮されれば、電気を使う時間も抑えられます。
このように節電から事業全体を見直すことも選択肢です。

最適な室温管理

空調自動管理システムによって室内温度を最適にすることも、省エネにつながります。
空調を自動で管理することで、暑すぎる、寒すぎるなどの無駄な電力消費を抑え、電気料金の低減が実現します。
また、快適な環境の維持により、従業員の作業効率も改善され、生産性の向上につながります。

様々な空調自動管理システムがありますが、施工も簡単ですぐにエアコンが使えるなど、手軽で導入しやすいものがおすすめです。コストも含め、自社にあった空調自動管理システムをお選びください。

解決ファクトリーではエアコンのコンプレッサー摩耗を
薬剤で再生する空調電力削減システムをご紹介しています。

ビニールカーテンによる空調節電

空調節電対策として、ビニールカーテンを導入する工場も増えています。
ビニールカーテンには遮熱効果もありますので、夏の冷房、冬の暖房効率を高めるなど、省エネに役立ちます。

防寒・防虫・防塵対策に「ビニールカーテン」の商品画像

ほかにも衛生管理対策として、ビニールカーテンは手軽で理想的な対策です。
工場では様々なゴミが発生するため、衛生管理及び品質管理に細心の注意が必要となります。
例えば、静電仕様のビニールカーテンを使うことによって、省エネ対策だけでなく、細かいホコリやチリが施設内に入るリスクを抑えられるなどのメリットがあります。

工場や倉庫の出入口、工場内の間仕切り、粉塵が出る作業スペースの間仕切りなど、環境に合わせたタイプのビニールカーテンの設置は、省エネ対策の第一歩とも言えるでしょう。

工場に最適なビニールカーテンのご相談は解決ファクトリーへ。

2023年に施行が決まっている「省エネ法改正」に向けて、改めて「省エネ法」について解説し、工場をはじめとする事業者、企業が今後取り組むべき課題についてお伝えしてきました。
省エネや環境に対する取り組みは、カーボンニュートラルなど大きな課題にも目を向けつつ、足元の事から着手していくことも大切です。
この省エネ法改正をきっかけに、今一度自社の「環境への取り組み」について議論するなど、具体的な計画を進めていきましょう。

まとめ

  • 2022年5月に「省エネ法」改正が決定し、2023年4月から施行予定である。
  • 省エネ法は、国が定めた「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」である。
  • 省エネ法には、「直接規制」と「間接規制」の2つに分類され、「工場・事業所」「運輸」は直接規制の分野である。
  • 今回の省エネ法改正のポイントは、カーボンニュートラルである非化石エネルギー導入である。
  • 今回の省エネ法改正により、今後の工場における電力の主流が太陽光発電にシフトすると予想される。
  • 省エネ対策として、最大需要電力(デマンド)コントロールも重要とされている。
  • カーボンニュートラルに取り組む事は、省エネだけでなく企業評価の向上につながる。
  • 企業の省エネ対策への取り組みには、補助金制度や税制優遇制度などがある。
  • 全体的な省エネ推進の取り組みとして、節電や電力会社の見直しなども有効である。