工場のIoT化がもらすメリットとスマートファクトリー

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「IoT」「AI(人工知能)」の導入、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」への取り組みは、より良い未来に向けた、世界共通の課題です。
製造業では、AIやioT導入による「スマートファクトリー」実現に向けた、大小様々な取り組みが始まっています。

今回はこの「IoT」「スマートファクトリー」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」について、用語の持つ意味、これらが製造業の問題解決にどんな役割を果たすのかについて、理解を深めていきましょう。

ioTとは何か

IoTとは、Internet of Thingsの頭文字を取ったもので、一般的には「モノのインターネット」と表現されます。
従来の「インターネット」と言えば、パソコンとサーバー、パソコン同士を繋ぐものでした。
IoTの発達により、自動車や家電のような「モノ・コト」をインターネットに繋げて、より便利に活用することができるようになってきました。

工場の場合は、機械や工程情報、作業員や作業結果が「モノ・コト」にあたり、IoTを導入することで、ここから莫大なデータが得られます。
センサーやクラウドコンピューテングの活用で、従来人間が目で見るなどして計測できたデータはもとより、今まで表面に出ていなかったデータまで、可視化(見える化)できます。

スマートファクトリーとは

AI(人工知能)ioT(モノのインターネット)などの先端的な技術を使って、コストダウン、生産性向上、品質の向上などを実現している工場を「スマートファクトリー」と呼びます。
スマートファクトリーの主な目的として、下記が挙げられます。

  1. 品質の向上
  2. コストの削減
  3. ⽣産性の向上
  4. 製品化・量産化の期間短縮
  5. ⼈材不⾜・育成への対応
  6. 新たな付加価値の提供・提供価値の向上
  7. リスク管理

スマートファクトリーは、ドイツ政府が2011年に公表した国家プロジェクト「インダストリー4.0(第4次産業革命)」によって世界の注目を集め、海外でも取り組みが進んでいます。
日本では、経済産業省が「コネクテッド・インダストリーズ」を提唱し、積極的にスマートファクトリー化を目指すようになりました。

出典:第4次産業革命の動向と、 Connected Industriesの 実現に向けて(経済産業省)

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは

デジタルトランスフォーメーションの概念は「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていく」というものになります。
具体的には、デジタル技術の活用により、大きなイノベーション(業務プロセスやビジネスモデルそのものが変化すること)を起こし、自他共に発展することです。
製造業におけるDXへの取り組み事例として、スマートファクトリー化が挙げられます。

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製造業に携わる方必見!DXの基礎知識と取り組み実例

工場におけるIoT化のメリットとは

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総務省の報告によると、2019年時点での日本企業におけるIoT導入状況は14~15%に留まっています。
働き方改革の推進をはじめ、人手不足問題問題も深刻ななか、生産性の持続向上を実現するためにIoT化は最も有効な取り組みのひとつです。
特に工場(製造業)においては、IoT化により業務効率が向上する要素が多く、生産管理や品質管理、工程管理見直しなどの大きな変革につながります。


出典:「日本企業のAI・IoTの導入状況」(総務省)

では、ioT導入の具体的なメリットを見ていきましょう。

「見える化」によって現状を把握できる

製造業において、現場の生産性を上げるためには、現状分析と改善点の究明が重要です。
IoTによる可視化=見える化によって次のような点が把握できます。

  • 機器などの稼働状況
  • 機械やシステムの故障状況
  • 製造状況の把握
  • 人や搬送機器の動き
  • 作業者の作業動態

データを活用してコストダウンや効率化ができる

見える化によって、解決すべき課題が見えてくれば、改善策を打ち出すことができます。
例えば…

  • 不良品について、その発生原因を分析して改善すれば、コスト削減ができます。
  • 作業員別による稼働時間、工作機械の個体差などを分析することで、生産性の高い作業、低い作業などが明確になり、効率アップのための工程計画見直しなどができます。

このように、データの活用により、ムリ・ムダ・ムラを発見して、改善させることができます。

安定した品質確保がサービスの向上につながる

製造業における生産工程の情報管理は、品質管理の点で非常に重要です。
品質検査へのIoT導入などで、作業効率を上げ、不良品の割合を削減することができるようになれば、安定した生産体制を維持できるようになります。ひいてはサービスの向上、品質の向上による企業の信頼度アップにも繋がります。

エネルギーの最適化ができる

工場内の照明や、製造ライン、ロボット稼働など、電力消費の多い製造の現場では、エネルギーの効率化が、企業の利益に大きく影響します。
IoTを活用したエネルギー効率化の一例として、工場の稼働状況を正確に把握し、各設備における必要エネルギーを自動で計算し、供給の調整、最適化を行うなどがあります。

知識や技術の蓄積ができる

従業員が個々に持っている経験や知識、作業の熟練度などの情報をデータベース化し、情報を蓄積することができます。
蓄積された情報を分析することにより、技能やノウハウを体系化することで、技術の継承、スキルの均一化などが行いやすくなります。
また、社員の正当な評価にも役立ちます。

ioTの活用でスマートファクトリー実現へ

このように、ioTの導入は、製造業の現場のみならず、企業そのものに大きな変革をもたらします。

そこで重要になってくるのは、IoTを導入することでどのようなゴールを目指すかです。
IoTの導入で得られるデータは膨大で、その活用方法も多種多様です。
導入する際には、まず自社の抱える問題を洗い出して、集めるデータ、どう活用すれば問題改善につながるのかを考える必要があります。

一度にIoTによる全体最適を目指さず、まずは1つの設備や製造ラインなどで小さなゴールを目指すことも大切で、課題解決の積み重ねが、スマートファクトリーの実現へと繋がっていきます。

経済産業では、「「⽣産性の向上」に向けたロードマップの例」として、段階的なプロセスを提示しています。

出典:「スマートファクトリーロードマップ」(経済産業省)

まとめ

  1. ioTとは「モノのインターネット」とも呼ばれ、様々な情報が可視化できる。
  2. ioTやAI(人工知能)を活用することで、問題の解決・生産性の向上などがができる。
  3. ioT導入による変革が、スマートファクリー化・企業のDX実現へと繋がる。

いかがでしたか?
製造業のioTとは、どんなものか?どんな目的があるのか?など、少しお分かりいただけたでしょうか。
聞き慣れない言葉や、関係省庁の掲げる政策や方針など、様々な情報が飛び交う中で、混乱も多いと思いますが、まずは何を知り、何に取り組むべきかを考えてみることが、自社の未来を切り拓くきっかけになるのかも知れません。